デザインの文脈においても、劇的な変化が起きている。かつてのNYスタイルといえば、重厚なレンガ造りや無骨なインダストリアルデザインが主流だった。しかし、今の恵比寿を彩るのは、再生資材と自然光をふんだんに取り入れた「引き算の美学」だ。ブルックリンの先進的な建築ユニットが手がけたスペースでは、廃材となった日本の古民家梁と、NYの解体ビルから再利用された鉄骨が不均一に組み合わされている。
「効率性を極限まで高めた都市だからこそ、人は空間の『余白』を強く求める」。店舗のデザインを手がけた建築家はそう語る。無造作に配置された植物、塗りの甘い土壁、そして敢えてスペースの3割を空地として残したレイアウト。都市の喧騒から逃れるためのエアポケットとして、この新しい空間言語は恵比寿の街並みにしっくりと溶け込んでいる。