定期試験や大学入試古典において、「門出」から出題される文法事項はパターン化されています。取りこぼしを防ぐための重要文法項目を厳選整理しました。
1. 助動詞の識別と文法的意味
「門出」には、受験生が苦手としやすい助動詞が凝縮されています。特に以下の3点は必ず押さえておく必要があります。
- 「あやしかりけむ」の「けむ」:過去推量の助動詞「けむ」の連体形。係助詞「か」と呼応して結びとなっており、「〜だったのだろうか」と訳します。
- 「候ふなる」の「なる」:伝聞・推定の助動詞「なり」の連体形。終止形接続であり、「都には物語が多くあると聞いている」という伝聞の意味を表します。
- 「ましかば〜まし」構文(※後段の記述):「もし〜であったなら、〜だっただろうに」という反実仮想を表す超重要構文です。現実には不可能な事態を仮定し、強い後悔や憧憬をにじませる表現として頻出します。
2. 敬語表現と「敬意の方向」の完全把握
古典読解の生命線である敬語の主体(誰から)と客体(誰へ)の関係を正確に把握しましょう。
- 「立ち給へる」:尊敬の補助動詞「給ふ」(連用形)。敬意の方向は「作者(語り手) ➔ 薬師仏」。
- 「祈ち申す」:謙譲の補助動詞「申す」(連体形)。敬意の方向は「作者 ➔ 薬師仏」。祈る行為をへりくだることで相手を高めています。
- 「候ふなる」:丁寧の本動詞「候ふ」(終止形)。敬意の方向は「作者 ➔ 読者(または祈りの場における仏)」。「あります」という改まった語調を作ります。