本作が完結後も色褪せない最大の理由は、読者体験の質の高さにあります。SNSやファン座談会で聞かれる生の声からは、従来のバトル漫画とは一線を画す独自の熱量が浮かび上がってきます。
「子どもと一緒に読んでいたら、いつの間にか親の自分のほうが夢中になり、科学館に通うようになった」「悪人が一人も死なない(全人類を等しく救うという千空の信念)に救われた」といった声が目立ちます。特に、司帝国との対立や宝島編での激闘を経て、かつて命を奪い合おうとしたライバルたちが「科学」という共通言語のもとで手を取り合っていくプロセスは、人間賛歌の物語として圧倒的な支持を獲得しました。
また、作画・Boichi先生の凄まじい筆致による見開き描写や、石化復活の瞬間をリアルに描いたビジュアル表現は、読者の感情を激しく揺さぶりました。週刊連載という過酷なスケジュールの中で、稲垣先生の論理的脚本とBoichi先生の圧倒的画力が一度もクオリティを落とすことなく交差したこと自体が、まさに一つの「奇跡的な科学反応」だったと言えます。