研究の現場が最初に見据えている実用化の舞台は、病院のICUや救急搬送の現場だ。心筋梗塞、脳卒中、重症トラウマによる大出血といった緊急事態において、患者の代謝を一時的に落とすことができれば、細胞の酸素消費量を最小限に抑え、不可逆的な組織死を食い止められる。
さらに、幹細胞などを活用する再生医療との親和性も極めて高い。ドナー臓器や培養組織の保存期間を劇的に延ばすだけでなく、手遅れになりがちな搬送時間稼ぎが可能になる。まさに命を守るための「タイムカプセル」として、医療のあり方を一変させる力を持っている。