私たちが日常的に愛用している清涼飲料水の多くは、ポリエチレンテレフタラート(PET)で製造された軽量かつ密閉性の高い容器に入っている。しかし、この使い勝手の良い容器の内部は、口をつけた瞬間から特定の病原菌にとって理想的な「培養器」へと様変わりする。
ここで最も警戒すべき存在が、人間の皮膚や粘膜に常在している黄色ブドウ球菌だ。この菌はボトル内で増殖する際、「エンテロトキシン」と呼ばれる強力な毒素を産生する。恐ろしいことに、一度生成された毒素は加熱しても破壊されにくく、飲み口から進入して密かに蓄積していく。これを摂取することによって引き起こされる食中毒は、激しい吐き気や腹痛、下痢を伴い、最悪の場合は重度の脱水症状をもたらす。