「自宅までのわずか数キロメートルだから」「慎重に運転すれば事故など起きないはずだ」という油断は、取り返しのつかない悲劇を招きます。納車当日に任意保険が間に合わない際、最も選択してはならないのが「自賠責保険だけでそのまま運転して持ち帰る」という判断です。
法律で加入が義務付けられている自動車損害賠償責任保険(自賠責保険)は、あくまで被害者の最低限の身体的救済を目的とした制度に過ぎません。補償範囲は極めて限定的であり、死亡事故での支払限度額は被害者1名につき最高3,000万円、後遺障害でも最高4,000万円、傷害に至っては120万円までしか支払われません。さらに、相手の車両やガードレール、店舗の建物といった「物損事故」に対しては、補償額が完全に0円です。
日本損害保険協会の事故事例報告を振り返ると、近年は高額な積載物を積んだ大型トラックとの衝突事故や、商業施設への誤進入事故において、対物賠償額が1億円から2億円を超える判決が相次いで下されています。死亡事故の損害賠償額も被害者の年齢や将来得られるはずだった収入に応じて3億〜4億円規模に達する事例が珍しくありません。
SNSやネット掲示板(5chや知恵袋など)でも、「納車日にディーラーを出て最初の交差点で追突事故を起こした」「無保険車に突っ込まれて人生を狂わされた」という生々しい体験談が定期的に投稿され、大きな議論を呼んでいます。ネット上の反応を見ても、「自賠責だけで公道を走るのは目隠しで綱渡りをするのと同じ」「任意保険未加入の車に乗って帰る度胸は理解できない」と、安全意識を欠いた運行に対する厳しい批判が大半を占めています。
万が一、無保険状態で重大事故を起こした場合、数千万円から数億円に及ぶ自賠責の超過分はすべて個人資産から支払わなければなりません。給与の差し押さえや自己破産を余儀なくされる現実を直視すれば、自賠責保険だけで納車された車を運転する選択肢は完全に排除すべきです。