「仕事が終わっても、脳のスイッチが切れない」。そう語るのは、都内のIT企業で役員を務める40代の男性だ。彼が週に一度、足繁く通うのは港区の静かな路地裏にあるバー。その目的は、カウンターの奥で静かに揺れる暖炉の炎だという。
AIや高速通信が生活の隅々にまで浸透した2026年、私たちの毎日は便利になった反面、常に情報に晒される脳の疲労が限界に達している。ブルーライトを浴び続ける日常から離れ、ただ原始的な炎の揺らぎを目で追う時間。暖炉が放つ波長は、自律神経を整え、張り詰めた緊張をほどいていく。現代人が求めているのは、過剰な演出ではなく「情報が削ぎ落とされた贅沢」なのだ。