私たちが当たり前のように口にする「万歳」という言葉の原点は、古代中国にさかのぼります。万歳の語源は中国皇帝に対する長寿と国家の永遠の繁栄を祈る言葉であり、「一万年の寿命(万寿無疆)」を寿ぐ意味が込められていました。当時、皇帝に対してのみ「万歳」と唱えることが許され、皇太子や諸侯には「千歳」という言葉が用いられるなど、厳格な身分統制の象徴でもありました。
この概念が日本に伝来したのは平安時代頃とされています。当初は「千秋万歳(せんずまんざい)」として宮廷儀礼や芸能の場で長寿を祝う寿詞として扱われており、現在のように両手を突き上げて叫ぶスタイルではありませんでした。
現代に通じる祝賀の身体動作として国民的に定着した契機は、明治憲法発布(1889年2月11日)の式典です。大日本帝国憲法発布の当日、青山御所から皇居へ向かわれる明治天皇の御列に対し、東京帝国大学(現・東京大学)の学生たちが敬意と歓喜を表す新しい唱和の言葉を考案。「奉賀」などの案を経て、和田垣謙三教授らの発案により「万歳(ばんざい)」を連呼することが決まりました。この出来事こそが、万歳の由来と歴史における決定的な転換点です。