英語学習者や雑学通の間で長年語り継がれる最大の疑問が、「December」の語源です。語頭の「Dec-」は、ラテン語で「10」を表す「decem」に由来します。これは10年を指す「decade」や、1リットルの10分の1を表す「deciliter(デシリットル)」、あるいは10本の足を持つ「decapod(十脚類)」と同じ語源です。「なぜ12番目の月なのに『10』という名前がついているのか」という疑問の背景には、古代ローマ時代に起きた暦の改定劇が存在します。
歴史資料および天文学史の記録によると、紀元前8世紀頃の古代ローマで用いられていた最初期の「ロムルス暦」は、現在の3月(Martius)を年初とする1年10ヶ月(304日間)の暦でした。農業に従事していた古代ローマの人々にとって、作物が育たない極寒の冬期(約60日間)は暦を設ける実用的な必要性が薄く、「名前のない空白の期間」として放置されていたのです。その結果、当時の暦における月の配置は以下のようになっていました。
- 第7の月:September(ラテン語の「septem=7」)
- 第8の月:October(ラテン語の「octo=8」)
- 第9の月:November(ラテン語の「novem=9」)
- 第10の月:December(ラテン語の「decem=10」)
その後、第2代ローマ王ヌマ・ポンピリウスの時代(紀元前713年頃)に、空白だった冬の期間を埋めるため「Januarius(現在の1月)」と「Februarius(現在の2月)」の2つの月が新たに制定されました。当初は年末に付け加えられていたとされますが、紀元前153年、行政・軍事上の執政官(コンスル)の就任時期が早められたことを契機に、1年の始まりが3月から「Januarius(1月)」へと正式に移行したのです。
この改革により、それまで10番目の月だった「December」の前に新たな月が繰り込まれる形となり、順序が2ヶ月ずつ後方に玉突きでズレる現象が発生しました。名称そのものは人々の生活習慣に深く根付いていたため変更されず、結果として「10番目の月という名を持ったまま、12番目の月として定着した」というのが歴史の決定的な真相です。