今年、メディア業界を揺るがしているのが、生成AIを用いたバーチャル論客の台頭だ。感情を持たず、膨大なデータを瞬時に分析して「最も客観的と思われる意見」を出力するAIたち。彼らは人間のようなスキャンダルとも無縁だ。
一部のメディアはすでに、コメンテーター席にAIを導入し始めている。人間特有の偏見や感情論に疲弊した視聴者にとって、AIの冷徹な分析は一見、信頼に値するように思える。だが、それは本当に私たちが求めていた「言葉」なのだろうか。データに基づくだけの正論は、時に人間の血の通った葛藤を切り捨ててしまう。