森本レオという表現者の原点は、1960年代後半から70年代にかけて吹き荒れた深夜ラジオブームにあります。日本大学芸術学部を中退後、名古屋の東海ラジオでスタートした『ミッドナイト東海』において、当時としては異例の「静かでパーソナルな語り」を展開しました。
深夜放送といえばアップテンポなトークと洋楽ロックが主流だった時代に、森本レオはまるでリスナーと真夜中の部屋でサシで向き合っているかのような囁き声で詩を朗読し、孤独な受験生や労働者の心に深く染み渡りました。当時の特番インタビューや手記において、本人は「叫ぶような言葉よりも、ため息のような言葉のほうが人の胸の奥深くに届く」と語っています。
この声の特性は、現代の音響分析においても科学的根拠が裏付けられています。森本レオの低音ボイスには、小川のせせらぎや木漏れ日と同じとされる「1/fゆらぎ(エフぶんのいちゆらぎ)」の波形成分が豊かに含まれており、聴覚を通じて脳の副交感神経を優位に導く鎮静効果があると指摘されています。単なる声優・俳優の枠を超え、「声そのものが精神的処方箋となる稀有な語り手」として評価される理由がここにあります。