実際の健診現場では、受診者の前夜の行動がどのような混乱をもたらしているのか。大手健診クリニックで問診を担当する内科医や臨床検査技師の証言からは、毎年のように繰り返されるリアルな実態が浮かび上がります。
「前日に同僚と脂っこい焼肉を食べて深夜まで飲酒した受診者の方が、翌朝の中性脂肪値で基準値の5倍近い数値を叩き出し、脂質異常症の精密検査対象となった事例があります。問診で自己申告があれば再検査の判断を保留できる場合もありますが、隠されてしまうとカルテ上は『重度の代謝異常』として処理せざるを得ません」(都内健診センター勤務・内科担当医)
SNSやネット掲示板のコミュニティでも、前日の過ごし方をめぐる後悔の声は枚挙にいとまがありません。
「健診の前日、気合を入れ直そうとパーソナルジムで下半身の追い込みをかけたら、翌日の血液検査でCPKが3000を超えて即電話がかかってきた。余計な心電図やエコーの再検査費用で1万円以上飛んだ」(30代・男性会社員)
「水分を摂るなと言われた気がして前夜から一滴も水を飲まずに行ったら、血管がペタンコになって採血で3回も針を刺し直された挙句、脱水で血液検査の全項目が濃縮されて要再検査になった」(40代・女性公務員)
尿検査に関しても、前日にビタミンCが大量に含まれる清涼飲料水やサプリメントを過剰摂取した結果、試験紙の酸化反応が阻害され、本来検出されるべき潜血や尿糖が「陰性」と偽られてしまう現象(マスキング現象)が報告されています。前日のちょっとした逸脱が、検査の信頼性を根底から揺るがしているのが現場の現実です。