コンセントを繋がずに食品を冷やす――そんな一見すると奇想天外な発想を具現化したのが、工学博士である藤村靖之氏だ。かつて機械メーカーの研究者として最先端の環境技術に従事していた同氏は、日本大学工学部での教鞭や研究活動を通じ、エネルギーを浪費する高度技術への疑念を深めていった。
その結実とも言えるのが「非電化冷蔵庫開発プロジェクト」である。冷媒やフロンガスを一切使わず、夜間に宇宙空間へ熱が逃げる「放射冷却」や水の蒸発熱といった自然現象だけを利用して庫内を冷却する。テクノロジーの過剰な肥大化に歯止めをかけ、シンプルな物理法則に回帰することで、災害時にもびくともしない持続可能な冷やす仕組みを証明してみせた。