堤義明氏を語る上で欠かせないのが、父・堤康次郎氏から事業を受け継いだ異母兄・堤清二氏(作家・辻井喬/セゾングループ創業者)との複雑な確執です。
父・康次郎氏は、正妻の子ではない義明氏を後継者として指名し「鉄道・ホテル・土地」という西武の実業中核を託しました。一方の清二氏には流通部門(西武百貨店、のちのパルコや無印良品を生んだセゾングループ)が与えられます。この succession(事業承継)を機に、二人は強烈なライバル関係となりました。
「感性・文化・消費」を重んじた清二氏と、「規律・規律・不動産」を徹底した義明氏。対照的な二人の巨頭は互いに口をきかない冷戦状態が長く続きましたが、バブル崩壊後のセゾングループ解体、そして西武鉄道事件による義明氏の失脚を経て、晩年には確執が氷解していきました。
2013年11月に堤清二氏が86歳で逝去した際、義明氏は偲ぶ会に参列。祭壇の前で静かに頭を垂れ、昭和から平成の日本経済を動かした兄弟の宿命の物語は静かに幕を下ろしました。