感情の暴発は心理面だけでなく、生物学的な脳のメカニズムからも明確に説明がつきます。脳内で怒りや恐怖を司る「扁桃体」の興奮を鎮め、論理的思考とブレーキ役を果たすのが前頭葉(前頭前野)です。しかし、医学的な知見によると、この前頭前野の機能が完全に成熟するのは20代中盤から後半とされています。
未成熟な脳機能に加え、現代のデジタル環境が前頭葉のオーバーヒートを加速させています。総務省や神経科学系の調査研究が示す通り、長時間のスマートフォン利用やショート動画の過剰視聴によるマルチタスクは、前頭前野の「抑制機能」を著しく低下させます。慢性的な睡眠不足と脳疲労が重なることで、扁桃体の暴走を食い止めるブレーキが物理的に効かなくなる状態に陥るわけです。
自著や専門外来で数多くの症例を診てきた精神科医たちの臨床報告でも、「本人は冷静でいたいのに、脳のワーキングメモリが飽和状態に達し、感情の遮断スイッチが壊れたように暴発してしまう」という証言が多数記録されています。キレる若者の原因が脳の前頭葉の機能低下にあると理解することは、対症療法ではなく構造的な解決を図る第一歩となります。