加圧トレーニングの最大の特徴は、腕や脚の付け根に専用のベルトを巻き、個人に合わせた適正な圧力を加えて血流を適度に制限した状態(駆血状態)で運動を行う点にあります。「軽いダンベルや自重運動だけで、なぜ高重量を挙げたような筋肥大が起きるのか」という疑問に対し、近年の運動生理学は明確な回答を提示しています。
鍵を握るのは、筋肉内の低酸素状態と乳酸の急激な蓄積です。通常、軽い負荷の運動では持久力に優れた遅筋線維が優先的に使われます。しかし加圧下では血流が制限されるため、筋肉内に素早く酸素が行き届かなくなり、遅筋が早期に疲労します。その結果、脳は「過酷な高負荷運動を行っている」と錯覚し、通常は重いバーベルを持ち上げなければ動員されない速筋線維を一気に総動員するのです。
さらに注目すべきは、運動後の成長ホルモン分泌量の急増です。東京大学をはじめとする研究機関のデータによると、加圧トレーニング実施後には血中成長ホルモン濃度が安静時の最大約100〜290倍まで跳ね上がることが確認されています。この成長ホルモンが全身を巡ることで、筋肉の修復・合成が強力に促進されるだけでなく、体脂肪の分解や骨密度の維持、皮膚のターンオーバー促進といった全身へのポジティブな波及効果が引き起こされます。