岸田今日子さんの名前を聞いて、真っ先にその「声」を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。1969年に放送が開始された初代アニメ『ムーミン』において、主人公ムーミン・トロールの声を担当。少し鼻にかかったような甘くハスキーなトーンで、純真で心優しいムーミンの心情を完璧に表現しました。
声優としての活躍にとどまらず、ドキュメンタリー番組のナレーションや絵本の朗読でも卓越した実績を残しています。低音の響きの中に潜む温かさとほのかな哀愁、研ぎ澄まされた間(ま)の取り方は、活字に込められた情景を立体的に立ち上がらせる魔力を持っていました。
彼女が吹き込んだ数々の童話や詩の朗読音源は、録音技術やメディアの形態が変わった今でも、多くのリスナーの心を癒やし、静かな感動を与え続けています。