一般的に加工食品に表示される卵の賞味期限と消費期限の違いを正しく理解している人は意外と多くありません。食品表示基準において「消費期限」が安全に食べられる限界期日を示すのに対し、「賞味期限」はおいしく食べられる目安を示します。そして日本の鶏卵における賞味期限は、日本卵業協会などの業界基準により「安心して生食できる期限」として設定されています。
この卵の生食可能期間の理由には、鶏卵に微量混入する可能性があるサルモネラ菌(Salmonella Enteritidis)の増殖特性が深く関係しています。卵の白身には「リゾチーム」と呼ばれる強力な抗菌酵素が含まれており、産卵直後から一定期間は菌の増殖を抑え込む自然の防御システムが働いています。
しかし、時間の経過や温度上昇に伴って白身の抗菌力は徐々に低下します。公的機関の実験データに基づき、万が一卵内にサルモネラ菌が存在していても、菌が増殖を開始しない安全マージンを計算して設定された日付こそが、店頭に並ぶ賞味期限なのです。したがって、期限が切れたからといって即座に腐敗するわけではなく、生食の安全域を通過したことを意味します。