パンくん事件が浮き彫りにしたのは、個人の油断だけではない。テレビエンターテインメント業界と動物プロダクションとの間に存在した、構造的なコンプライアンスと安全管理の盲点である。視聴率を稼ぐための「擬人化演出」がエスカレートする一方で、現場のバックステージにおける安全対策は極めて杜撰な状態に置かれていた。
バラエティ番組で消費される動物たちのストレス、過密な撮影スケジュール、そして安全柵一枚で猛獣と人間を隔てる現場の甘さ。事故後に環境省や動物愛護団体からの批判が相次ぎ、日本のメディア界における動物起用のあり方は根本的な見直しを迫られることとなった。