現場で最も頻発する危険な勘違いの一つが、クレーン等による吊り上げ作業(玉掛け)へのクリップ止めの流用です。
日本の労働安全衛生法に基づく「クレーン等安全規則第219条」および「労働安全衛生規則第475条」において、玉掛け用ワイヤロープの端末処理としてワイヤークリップ止めを用いることは明確に禁止されています。玉掛け用として認められているのは、国家検定資格者による「段落とし編み込み(スプライス加工)」や、専用スリーブを用いた「圧着止め(ロック加工)」などの恒久的な加工法のみです。
なぜ玉掛けへのクリップ使用が禁止されているのか。その理由は、吊り荷の動揺や急激な加減速によって生じる「動的衝撃荷重」や「ロープのねじれ回転」に対し、クリップ止めでは摩擦保持力が瞬間的に抜けて破断・脱落する危険性が極めて高いためです。
ワイヤークリップの適用が認められているのは、あくまで仮設建屋のブレース(筋交い)、通信鉄塔や電柱の控え線(ガイワイヤー)、輸送時の荷崩れ防止用張り線、索道設備の固定端など、「静的な引っ張り保持」を目的とした用途に限定されます。