インターネット上の掲示板やSNSで「ひどい虫歯」関連の投稿を精査すると、「歯医者で怒られるのが怖くて行けない」「口を開けた瞬間に呆れられるのが恥ずかしい」といった感情的な告白が圧倒的多数を占めています。
この受診忌避行動は、心理学および心療歯科分野において「歯科恐怖症(Dental Phobia)」として正式に認識されている状態です。過去の強烈な治療痛のトラウマや、自身の健康管理に対する強い自己嫌悪が認知の歪みを生み出し、「受診しなければ現実を見なくて済む」という回避型防衛機制を働かせてしまうのです。
しかし、近年の歯科医療界では患者心理への配慮が劇的に変化しています。全国の多くのクリニックで「怒らない診療」「痛みの少ない無痛治療」が掲げられ、重度の歯科恐怖症やパニック障害を持つ患者向けに、点滴で鎮静薬を投与しながら半分眠ったようなリラックス状態で治療を完了させる静脈内鎮静法(セデーション)の導入が進んでいます。