鶴田浩二のキャリアを語る上で欠かせないもう一つの柱が、数々の戦争映画です。『最後の特攻隊』(1970年)や『あゝ同期の桜』(1967年)、『人間魚雷 ああ回天特別攻撃隊』(1968年)などで見せた指揮官や特攻隊員の姿は、演技を超越した祈りそのものでした。
自らも海軍航空隊員として過酷な軍隊生活を経験した鶴田浩二は、映画制作にあたっても軍隊の所作や敬礼の角度、兵士たちの心理描写に徹底的にこだわったと伝えられています。「英霊たちの無念を映画の中で無駄にしてはならない」という強烈な使命感が、観る者の胸を締めつける凄絶なリアリズムを生み出しました。単なる戦意高揚でも感傷的な反戦劇でもない、散っていった若者たちへの鎮魂歌としての重みを持っています。