ベンチの将たちにとって、翌日の先発投手を提示する作業は単なる事務連絡ではない。相手打線の並び、主力打者の相性、そして直前の試合でのリリーフ陣の消耗度合い—これら無数の変数を天秤にかけながら、最善の一手を指す高度な心理戦だ。
特に連戦が続く夏の終わりやペナントレース終盤ともなれば、裏の読み合いは過熱する。右の本格派を投げさせると見せかけて左の軟投派をぶつける「カードのズラし」や、相手の得意な左右病(打者の左右相性への過度なこだわり)を逆手にとった起用。予告先発が確定する直前の午前中の打診段階まで、各球団のスコアラーと投手コーチは冷や汗をかきながら電卓を叩き続けている。