1990年代前半の日本は、樋口可南子さんの『Water Fruit』(1991年)や宮沢りえさんの『Santa Fe』(1991年)によって「ヘアヌード」という言葉が定着し、写真表現の境界線が激しく揺れ動いていた時代でした。『ACCIDENT』はその大きなうねりの集大成として市場に投入され、初版から即座に重版がかかり、累計発行部数は40万部を突破するメガヒットを記録しました。
当時の反響は単なる好奇の目にとどまりませんでした。写真界・出版界のレビューでは、「篠山紀信のカメラワークが捉えた肉体の生々しさと、少女から大人の女性へと変貌する刹那の美学」が高く評価されたのです。
さらに重要なのは、この写真集の発売時期が高岡さんの女優人生における最大の転換点と完璧にリンクしていた点です。写真集発売の前年である1994年、深作欣二監督の映画『忠臣蔵外伝 四谷怪談』に出演した高岡さんは、お岩役で日本アカデミー賞最優秀主演女優賞を受賞。女優としての覚醒と『ACCIDENT』で見せた圧倒的な存在感が相乗効果を生み、彼女は単なるアイドルから「日本映画界を背負う本格派女優」へと完全に脱皮を遂げました。