かつてサブカルチャーの深層に眠っていた「ボカロ文化」の表現技法が、いかにして現代J-POPのメインストリームを侵食し、塗り替えたか。その決定的な証拠が「ルル」という楽曲だ。
意味よりも響きや衝動を優先させたかのような言葉選び、過剰なまでに詰め込まれた韻、そして聴き手に解釈を丸投げするような余白。これらは従来のJ-POPの定型からはみ出している。しかし、だからこそ若者を中心とするリスナーは、そこに「自分だけのリアリティ」を見出しているのではないか。嘘で塗り固められた綺麗な言葉よりも、MARETUとAdoが叩きつける歪んだ本音のほうを、私たちはどこかで求めていたのだ。