本作の根底にあるのは、1990年代からカンパニー松尾監督を中心に展開されてきた「テレクラキャノンボール」シリーズのフォーマットです。原点となる企画は、複数の監督が原付やバイクに乗り込み、地方都市で女性をナンパ・合意を得て関係を結びながらゴールを目指すという、極めてゲスで生々しいロードムービー形式のドキュメンタリーでした。
2017年の展開において最大のハイライトとなったのは、伝説のアイドルグループ「BiS」の解散ライブ現場に6人の監督が潜入した『劇場版 アイドルキャノンボール2017』です。各監督がメンバー1人ひとりに完全密着し、同じホテルの一室に泊まり込みながらプライベートの境界線に迫るという、極限の密着レースが敢行されました。
衝撃の結末として記録されたのは、単なる勝敗の優劣ではありませんでした。レースの勝敗判定においては、ポイント獲得の多寡以上に、「被写体と撮影者の境界線が崩壊した瞬間」をどの監督が最も赤裸々にカメラへ収めたかが決定打となりました。メンバーの剥き出しの感情、疲弊、そして監督自身の狡猾さと情けなさが交錯する中、物語は予定調和を完全に破壊するカオスなフィナーレへと雪崩れ込みました。