1980年代後半、フジテレビで放送が始まった『志村けんのだいじょうぶだぁ』は、彼の独自の笑いが完成を見た歴史的番組である。グループでのコントから、自身が座長を務める冠番組へ。志村の表現欲求はここで大きな花を咲かせた。
番組内で展開された短編コントの数々は、今見ても全く色あせない。変なおじさん、ひとみばあさん、そしてバカ殿様。濃密なキャラクターたちが繰り広げるドタバタ劇の随所に、「アイーン」は絶妙なスパイスとして投入された。くだらないと思わせる笑いの裏には、完璧に計算されたの間(ま)と音楽のアンサンブルが存在していた。
スタッフとの台本読み合わせは深夜に及び、効果音ひとつにも妥協を許さなかった。「大人が本気でバカをやらないと、子供は笑わない」。フジテレビの黄金期を牽引した彼のこの信念が、時代を超えて語り継がれる名作コントを量産し続けたのである。