『でもでもの涙』が他のアイドルソングと根本的に異なる点は、哀愁漂うマイナーコードのメロディと、強がりの中に覗く少女の脆さを巧みに捉えた歌詞にある。秋元康が紡ぎ出した言葉は、未練とプライドの狭間で揺れる心を「でもでも」という繰り返しの言葉に託し、聴き手の胸を締め付ける。
平成から令和へと至るJ-POPの歴史を振り返っても、これほどストレートに哀愁を歌い上げながら、アイドルのポップネスを失わない楽曲は稀有である。キングレコードが手掛けたCD音源はもちろん、劇場の生の空気感を含んだサウンドトラックは、音楽関係者の間でも「80年代歌謡曲の現代的昇華」として高く評価されてきた。