シャリを握るロボットの精度は年々向上し、人の手に近い絶妙な空気感を含ませることが可能になった。しかし、板場に立つ職人の存在意義が消えたわけではない。カウンター越しに客の好みを察し、その日の気候や魚の脂の乗り具合に合わせて切り分けや仕込みを微調整する技術は、いまだアルゴリズムの及ばない領域だ。
現場では、ロボットが下ごしらえや基本成形を担い、仕上げや客とのコミュニケーションを人間が担当する協働スタイルが標準化しつつある。効率化によって生まれた時間を、接客や伝統技術の継承に割り振るという逆転の発想が、老舗の暖簾を守る強い武器となっている。