朝ドラの歴史において、主役以外のキャストがこれほど劇的なブレイクを果たした例は珍しい。当時のオーディション現場で制作陣の目を引いたのは、有村架純が漂わせていた不思議な昭和の匂いと、凛とした芯の強さだった。
若き日の春子という役柄は、物語の根幹をなす過去の因縁を背負う重要なポジションだ。重圧がかかる撮影現場で、彼女は80年代のアイドル誌を読み込み、当時の松田聖子の歌唱映像や立ち振る舞いを研究し尽くしたという。あの特徴的なヘアスタイルを再現した瞬間、カメラの向こうにいたスタッフ全員が「春子がそこにいる」と息を呑んだ。出番こそ限定的であったものの、放たれたインパクトは主演級の輝きを放っていたのである。