アメリカの農業を詳細に見ると、地理テストや入試で頻出する「小麦の種類の違い」や、極限の乾燥地帯を巨大な食肉生産工場に変えたハイテク農業の存在が浮き彫りになります。
春小麦と冬小麦の違い:なぜ南北で分かれるのか?
小麦地帯がコーンベルトを挟んで南北に2つに分かれている理由は、「冬の寒さに耐えられるかどうか」という単純明快な気温の差です。
北部のノースダコタ州やカナダ国境付近は、冬の寒さが極めて厳しく土壌が完全に凍結します。秋に種をまいても苗が越冬できないため、雪解けの春に種をまき、夏の太陽を浴びせて秋に収穫する「春小麦」が定着しました。
一方、南寄りのカンザス州などは冬が比較的温暖です。秋に種をまいて冬の間に根を張らせ、初夏から夏にかけて一気に収穫する「冬小麦」を栽培します。冬小麦は春小麦よりも生育期間が長く、収穫量や品質が安定しやすい利点があります。
フィードロット(肥育場)とセンターピボットが変えた畜産システム
乾燥地帯である西部のグレートプレーンズでは、単に牛を野放しにしているだけではありません。効率を極限まで追求したフィードロット(肥育場)と呼ばれる濃厚飼料肥育システムが確立されています。
広大な放牧地で牧草を食べて育った仔牛は、出荷前の数カ月間、巨大な野外囲い施設(フィードロット)に集められます。そこでコーンベルトから運ばれてきた高カロリーなトウモロコシや大豆粕、ビタミン剤などの濃厚飼料を与えられ、急速に体重を増やして霜降りの肉質へと仕上げられます。
また、乾燥地帯の空撮写真で見られる巨大なミステリーサークルのような円形農場は、センターピボット灌漑によるものです。地下数百メートルから地下水を汲み上げ、長さ数百メートルの散水パイプが中心を軸に自走しながら自動で円形に水を撒くこの装置により、かつて不毛の砂漠同然だった土地が豊かな飼料用トウモロコシ畑へと生まれ変わりました。