ソチ五輪当時、もう一つ大きな波紋を広げたのが、東京五輪組織委員会会長を務めていた森喜朗元首相による「大事なときには必ず転ぶ」という発言でした。国内外から厳しい批判の声が上がる中、政府首脳陣の対応にも注目が集まっていました。
そんな重苦しい空気を払拭したのが、同年4月に実現した首相官邸への表敬訪問です。ソチ五輪日本代表選手団の一員として官邸を訪れた浅田真央さんを、安倍首相は満面の笑みで迎え入れました。
懇談の席で安倍総理は、森氏の発言による雑音を一蹴するかのように浅田さんの精神的な強さを絶賛。「あのフリーの演技は、何回見ても鳥肌が立ち、涙が出る」と率直に語りかけ、記念撮影でも彼女を中央に配するなど終始リラックスした雰囲気を作り上げました。浅田さんも屈託のない笑顔で応じ、政治の緊張感を一瞬で和らげる特別な存在感を放っていました。