晴明神社に対しては、陰陽師=占い師という短絡的なイメージから、「占いをしてもらえる場所」と誤解している人も見受けられる。しかし、神社は占いの提供機関ではなく、神職による祈祷が行われる祭祀の場だ。一部の参拝者が「おみくじ=占い」と混同しているケースもあるが、おみくじは吉凶の指針であり、占術とは性格が異なる。この点は、神社側も公式の案内で明確に線を引いている。
もう一つの盲点が、安倍晴明神社と晴明神社は同義ではないという点だ。実は「安倍晴明神社」を名乗る神社は大阪府阿倍野区にもあり、こちらは安倍晴明の生誕伝承地とされる。さらに、京都・嵯峨野の晴明神社や、全国各地に勧請された晴明社が存在する。単に「安倍晴明神社 京都」と検索した場合、検索結果に大阪の情報が混ざって表示されることもあるため、訪問先を間違えないよう注意が必要だ。京都で晴明公の暮らしと祭祀の中心だったのは、堀川通の晴明神社である。
意外と知られていないのが、境内社の存在だ。晴明神社には、晴明の子・吉平を祀る社や、稲荷社などが含まれており、単独の祭祀ではない。これらの小さな社まで丁寧に巡ると、晴明一族とこの土地の関係性がより立体的に理解できる。多くのガイド記事では触れられないが、私はこの「神社の中の多層性」にこそ、京都の社寺文化の深みを感じた。