岸部一徳さんの経歴を振り返ると、日本のテレビドラマ史・映画史を彩る金字塔の数々が並びます。特に視聴者の心に深く刻まれている3大看板ドラマのキャラクターは、今なお色褪せません。
第一に挙げられるのが、『相棒』シリーズにおける小野田公顕(警察庁長官官房室長・通称“官房長”)です。水谷豊さん演じる杉下右京と回転寿司を食べながら腹の探り合いをする飄々とした姿、そして警察組織のリアリズムを体現した冷徹さと温かみが同居する演技は絶賛を集めました。番組を去った殉職シーンは、ドラマファンの間で今も伝説として語り継がれています。
第二に、『ドクターX〜外科医・大門未知子〜』の神原晶(名医紹介所所長)。「メロンです。請求書です」の決め台詞と軽快なステップで大金を請求するコミカルな一面と、未知子を温かく見守る親代わりのような深い愛情表現は、同作の絶対的な支柱でした。
さらに、松本潤さん主演の『99.9-刑事専門弁護士-』で演じた斑目春彦所長も外せません。とぼけた言動で周囲を煙に巻きつつ、要所では法曹界の重鎮として圧倒的な威厳を放つ芝居で作品を大ヒットへと導きました。また、映画『死の棘』(1990年)で日本アカデミー賞最優秀主演男優賞を受賞するなど、映画界でも最高峰の評価を獲得しています。