時計の針を1990年代半ばに戻そう。日本テレビ系列で放送され社会現象となったドラマ『家なき子』。当時、サンミュージックプロダクションに所属していた安達祐実の演技力は天才と称され、日本中を魅了した。その熱狂の最前線で現場に立ち続け、娘のマルチな才能を誰よりも早く見抜いていたのが母親の有里だった。
過密スケジュールをこなし、容赦ない報道の波から娘を守る一方で、プロデュースの方針を巡る周囲との歪みも生じ始めた。子役から大人の女優への脱皮という難題に直面する中、親でありマネージャーでもあるという二重の役割が、親子間の心理的摩擦を深めていくことになる。華やかな光が当たる一方で、影の部分の歪みが蓄積していった時代だった。