クリストファー・ノーラン監督の現場は、一切の無駄が削ぎ落とされた緊張感漂う空間として知られる。巨大なCGに頼らず、極力実写での撮影にこだわる監督のスタイルの下、アン・ハサウェイは容赦ないリアリティにさらされた。荒れ果てたゴッサム・シティの現場で、彼女の芝居を引き出したのはノーラン監督の緻密かつ自由度の高い演出だった。
さらに、バットマンことブルース・ウェインを演じたクリスチャン・ベールとの化学反応も見逃せない。徹底した役作りで知られるベールと対峙した際、彼女は一歩も引かない鋭い眼光とエスプリの効いた台詞回しで圧倒。二人の間に流れる張りつめた空気感は、映画全体に極上の緊迫感を与えた。