安全衛生責任者の運用を巡っては、建設現場やインターネット上で誤った認識が散見されます。トラブルや法令違反を防ぐために知っておくべき3つの盲点を整理します。
誤解1:「安全衛生推進者」や「衛生管理者」と同じ役職である
名称が酷似しているため混同されがちですが、これらは選任主体も目的も全く異なります。安全衛生推進者(安衛法第12条の2)や衛生管理者(同第12条)は、1つの事業場(支店や工場、営業所など)の常時雇用人数に応じて配置される「事業場常駐の管理職」です。対して安全衛生責任者は、「特定事業の建設現場」という有期プロジェクトの作業所において選任される現場特化の役職です。
誤解2:「資格証を持っていれば現場にいなくても名前貸しで通用する」
施工体制台帳の書類上だけ有資格者の名前を記載し、実際の現場には資格を持たない作業員だけを入場させる「名義貸し」は極めて危険な違法行為です。安全衛生責任者は日々の朝礼、安全巡視、工程打ち合わせ、危険予知活動に直接参加する実務者でなければならず、不在時に事故が発生した場合は元請・下請ともに虚偽報告や管理義務違反として労働基準監督署から厳しく追及されます。
誤解3:「職長教育を昔受けていれば、何もしなくても安全衛生責任者を名乗れる」
平成13年以前に旧来の「職長教育(12時間)」のみを受講したベテラン作業員の場合、安全衛生責任者に関するカリキュラム(統括管理や法第16条関連の学習)が含まれていません。この場合、そのままでは安全衛生責任者として選任できず、追加で「安全衛生責任者講習(約4.5〜5時間)」を受講するか、新たに統合講習を受け直す必要があります。