しかし、彼女の本当の凄みは、1990年代の爆発的なヒットの「その後」にあった。2000年代初頭、時代を象徴した小室哲哉のプロデュースを離れるという大きな決断を下す。音楽シーンの潮流が目まぐるしく変わる中、自らの足で立つことを選んだ彼女が傾倒したのは、自身のルーツでもあるR&Bやヒップホップだった。
当時の音楽業界では「小室ファミリーからの脱却はリスクが大きすぎる」との懸念も囁かれた。だが、SUITE CHICプロジェクトへの参加を経て、自らの音楽性を研ぎ澄ませていく。2007年のアルバム『PLAY』、そして翌年のベストアルバム『BEST FICTION』は空前の大ヒットを記録。オリコンチャートのトップを再び奪還し、見事な再降臨を果たした。
テレビ露出を極限まで減らし、ライブステージのみで勝負するストイックなスタイルへと変貌を遂げたのもこの時期だ。ステージ上にMC(トーク)の時間を一切設けず、2時間以上歌い踊り続ける圧巻のパフォーマンス。1990年代のアイドル的ブームを超え、本格派ライブアーティストとしての「第二の全盛期」を自らの手で切り拓いた瞬間だった。