東京から遠く離れた地で臨床を続けるなかでも、発信をやめたわけではない。むしろ、現場で直面する高齢者の孤独、過疎地の交通弱者問題、そして地方医療の担い手不足といった生々しい課題は、彼女の考察に以前にも増して強い説得力を与えている。精神科医としての臨床経験と、総合診療医としての身体的アプローチが融合したことで、その発言はより立体的かつ実践的な重みを帯びるようになった。
かつての攻撃的とも取られかねない論調は影を潜め、地域コミュニティの再生や人間の尊厳をめぐる穏やかで深い洞察が目立つ。臨床心理学の知見を交えながら語られる彼女の言葉は、単なる医療体制の批判にとどまらず、縮小していく日本社会で人がどう生き、どう老いるべきかという普遍的な問いへと昇華されている。現場での知られざる活動実態は、彼女の言論人としての第2章を静かに、しかし力強く駆動させている。