鴨川デルタを語るうえで外せないのが、数々の名作アニメや邦画における「舞台」としての顔だ。特に鬼才・湯浅政明監督が手がけたアニメ『四畳半神話大系』のファンにとって、この三角州はまさに物語の起爆剤となった聖地中の聖地である。作中で主人公たちが不毛な議論を交わし、不条理なキャンパスライフの起点とした場所であり、画面越しの空気感が現実の空間へとダイレクトにリンクしている。
ファンが思わずカメラを構えたくなる限定撮影スポットも存在する。最も象徴的なのは、賀茂川側と高野川側の双方に設置された「亀の形をした飛び石」だ。特に北側の賀茂川に架かる飛び石から三角州の先端を望むアングルは、作品のキービジュアルをそのまま再現できる絶好のロケーションとして知られる。さらに、夕暮れ時に下鴨神社側の木立を背にして三角州の先端を広角で切り取ると、水面に映る茜色の空と影絵のような樹木が織りなす幻想的なカットが撮影できる。知られざる裏側として、川の水位や天候によって表情が劇的に変わるため、雨上がりの早朝などには水鏡のような奇跡的なコントラストが生まれる点も見逃せない。