彼女の才能が世に知れ渡った記念碑的作品『パッチギ!』。そこで見せた無垢な輝きと圧倒的な透明感は、観客の心を鷲掴みにした。しかし、瞬く間にトップスターへと駆け上がった代償は、虚像と実像の乖離だった。
その葛藤が見事に結実したのが、蜷川実花がメガホンを取った映画『ヘルタースケルター』だ。美と名声のプレッシャーに蝕まれ、自壊していく主人公・りりこ。沢尻エリカはこの役に己の魂を削るようにして憑依させ、狂気と哀愁をスクリーンに焼き付けた。芸能界という巨大な消費システムの中で生きる彼女自身の痛切な叫びが、あの演技には宿っていた。