奥大井湖上駅を目指す旅行者が最も直面しやすい落とし穴が、移動インフラの実情です。大井川鐵道は近年、台風等の自然災害による土砂災害の影響を幾度も受けてきました。訪問を検討する際は、大井川本線(金谷〜千頭)と井川線(千頭〜井川)の運行ステータスを明確に区別して把握しなければなりません。
2026年現在の運行状況において、井川線(南アルプスあぷとライン)自体は定期運行を維持しており、奥大井湖上駅への列車到達は可能です。ただし、起点となる千頭駅までのアクセスルートには注意が必要です。大井川本線の被災区間においてバス代行輸送や部分運行が継続・再編されている時期があるため、首都圏や関西圏から公共交通機関のみで日帰りを目指す場合、乗り継ぎの難易度は跳ね上がります。
公式発表資料や現地の運行ダイヤによると、井川線の列車運行本数は1日あたり概ね5往復程度。1本逃すと次の列車まで2〜3時間待たされることは日常茶飯事です。さらに、市代駅〜長島ダム駅間には、日本で唯一現役で稼働している「アプト式電気機関車」を連結する急勾配区間(90パーミル=1,000m進むごとに90m登る)が存在します。この連結作業や山岳鉄道ならではの低速走行を楽しむ余裕を持ったスケジュール設計が求められます。