研究者たちを驚かせたのは、アリが麻痺し始める直前まで、自ら進んでサシガメにしがみつき続ける点だ。まるで薬物に依存したかのように、アリは危険を察知することなく、自ら死のトラップに身を委ねる。
近年の高解像度カメラと化学分析により、この分泌液にはアリの脳内物質を狂わせる「向精神作用」に似た成分が含まれていることが判明した。ただの毒ではない。獲物の感覚を麻痺させつつも、「もっと舐めたい」という衝動を植え付ける極めて悪質なブレンドなのだ。自然界が作り出したこの精巧な化学兵器に、多くの科学者が舌を巻いている。