ヒグマが生息するフィールドに入る際、または万が一市街地で遭遇してしまった場合、生死を分けるのは感情的なパニックではなく「科学的に正しい行動」です。
絶対に避けるべきNG行動は、「大声を上げて背中を向け、走って逃げること」です。ヒグマは時速50〜60kmで走ることができ、逃げるものを条件反射で追いかけて攻撃する本能を持っています。人間が全力疾走しても数秒で追いつかれ、後頭部や背中に致命傷を負うことになります。
ヒグマ遭遇時の正しい対処法の手順は以下の通りです。
まずはヒグマから目を逸らさず、静かに声をかけながらゆっくりと後ずさりして距離を取ること。障害物(立木や岩、車)を自分の間に挟むように移動します。もし突進してきた場合、それが威嚇突進(ブラフ・チャージ)であれば途中で止まることが多いため、踏みとどまる勇気が求められます。
最終防衛ラインとして極めて高い信頼性を誇るのが、ヒグマ撃退スプレーの効果です。高濃度のカプサイシン(トウガラシエキス)を含んだスプレーをヒグマの目や鼻に向けて噴射することで、呼吸器と視覚に激痛を与え、確実に撃退することができます。北米の研究機関のデータでも、銃器による対抗よりも熊撃退スプレーを使用した方が、人間の重傷化率を大幅に低減させたという実績が証明されています。
万が一スプレーがなく直接攻撃を受けた際は、うつ伏せになり、両手で首の後ろを固くガードして腹部と頚動脈を守る「防御姿勢(クラークポジション)」を取り、致命傷を避けることが最後の生還手段となります。