現場がシフトした最大のトリガーは、アルコール製剤の限界だった。エタノールは確かに優秀な除菌成分だが、ノロウイルスをはじめとする特定のノンエンベロープウイルスに対しては分が悪い。加えて、濡れた手や水分が残る調理器具に吹きかけた瞬間、濃度が低下して効果が急激に落ちるという泣き所を抱えている。
対照的に、適切な濃度とpHに管理された除菌水は、濡れた環境下でも素早く標的の細胞膜を突破する。とりわけ生鮮食品を扱う厨房では、食材そのものの洗浄・殺菌に使える利点が極めて大きい。手荒れに起因する黄色ブドウ球菌の保菌リスクを減らせることも、日夜手洗いを義務付けられる給食従事者や看護助手たちの切実な支持を集める理由だ。