近年、水産資源の急激な減少と国際的なトレーサビリティ(追跡可能性)要求の高まりを受け、日本政府も法改正による密漁対策を急速に強化してきました。漁業法の改正により、アワビやナマコなどの特定水産動植物を無許可で採捕した場合の罰則は、最高で懲役3年または罰金3,000万円へと大幅に引き上げられました。
水産庁や海上保安庁によるドローン監視、夜間暗視カメラの導入、さらにはDNA鑑定を用いた産地偽装の摘発など、テクノロジーを活用した取り締まり網は確実に狭まっています。しかし、それでもなお密漁摘発のニュースは絶えません。
罰則が重くなればなるほど密漁品の闇相場は跳ね上がり、リスクを冒してでも巨額の利益を狙う半グレ集団や外国人犯罪グループが新たに参入するなど、裏社会の手口はより巧妙化・多国籍化しています。水産流通適正化法による取引記録の義務付けが進む一方で、最終消費者の側が「安さの裏にあるトレーサビリティ」に関心を持たない限り、このいたちごっこを完全に終わらせることは容易ではありません。