法的なルールと野球協約の観点から「ソフトバンク直行」の可能性を検証すると、冷厳な制度の壁が立ちはだかります。まず大前提として、佐々木麟太郎選手がNPB球団に入団するには、日本のプロ野球ドラフト会議での指名を受けることが必須です。かつて存在した「田澤ルール(日本のドラフトを拒否して海外進出した選手への復帰制限)」は2026年に撤廃されたため、佐々木選手が日本プロ野球に戻る際にペナルティを受けることはありません。しかし、だからといって自由契約選手のように特定球団と自由に契約できるわけではありません。
もし佐々木選手がNPB入りを希望してドラフト対象選手となった場合、当然ながらソフトバンク以外の11球団にも指名権があります。高校時代に140本塁打を放ち、アメリカで心身ともに鍛え上げられた長距離砲となれば、複数球団による1位入札の競合は避けられません。ソフトバンクが単独で確実に獲得できる保証は制度上どこにも存在しないのです。
仮にNPBドラフトを経て日本球界入りを果たした場合の契約金・年俸予想としては、現行のドラフト規約における最高条件である「契約金1億円+出来高5000万円、年俸1600万円(推定)」が適用されるのが通例です。一方、MLBドラフトで上位指名(例えば2巡目以内)を受けた場合の契約金スロットは200万ドル〜400万ドル(約3億〜6億円規模)に達するため、経済的側面だけを比較しても、日米の間には大きな開きが存在しています。