日本国内において、この概念が広く知られる大きな契機となったのが、日本放送協会(NHK)が制作・放送したドラマ『恋せぬふたり』だ。
俳優の岸井ゆきの演じる主人公・咲子と、高橋一生演じる羽羽男。他者に恋愛感情も性的惹かれも抱かない二人が同居生活を始める物語は、従来の「恋愛成就=ハッピーエンド」というドラマの常識を鮮やかに塗り替えた。恋愛感情を伴わない「家族」のあり方を描いた本作は、放送当時から大きな反響を呼び、当事者のみならず多くの視聴者に深い気づきを与えた。
ポップカルチャーの中で当事者がステレオタイプではなく、生身の人間として立体的に描かれた意義はきわめて大きい。日本のテレビドラマ史における確かな転換点であったと言える。