Q1:天然痘の原因ウイルスは、現在も自然界の森林や野生動物の体内に潜んでいるのですか?
A1:いいえ、潜んでいません。天然痘ウイルスは人間のみを宿主とするウイルスであり、1977年の患者発生を最後にヒトからヒトへの感染連鎖が完全に途絶えたため、自然界からは完全に消滅しました。現在地球上に存在するウイルスは、アメリカとロシアの厳重なBSL-4管理施設に保管されている公認株のみとされています。
Q2:子どもの頃に腕に打った「ハンコ注射」の跡は天然痘のワクチンですか?
A2:多くの場合、それは結核を予防するための「BCGワクチン」の跡です。BCGは9本の管針を押し付ける「スタンプ状(ハンコ注射)」の痕が残ります。一方、昭和51年(1976年)まで実施されていた天然痘の種痘は、二叉針などで皮膚に傷をつける手法であり、上腕に1〜2個の円形や不規則な形の瘢痕が残るのが特徴です。母子手帳の記録を確認することで正確に判別できます。
Q3:万が一、テロなどで天然痘ウイルスが現代社会に撒かれた場合、対抗する手段はあるのでしょうか?
A3:一定の対抗手段は整備されています。日本を含む主要先進国では、バイオテロ対策として「乾燥細胞培養痘そうワクチン」を国家備蓄しています。また、天然痘は潜伏期間が比較的長いため、ウイルスに曝露(感染)した直後から数日以内(理想的には3〜4日以内)にワクチンを緊急接種すれば、発症を阻止したり重症化を大幅に防いだりできることが実証されています。さらに、近年ではオルソポックスウイルスに有効な抗ウイルス薬(テコビリマット等)の開発・承認も進んでいます。