現在の日活調布撮影所を語る上で欠かせないのが、テクノロジーの劇的な進化です。かつて日活クラシック映画の代名詞であった「太陽族映画」や「無国籍アクション」を撮り上げた歴史あるスタジオ群は今、世界最高水準のバーチャルプロダクションスタジオへと変貌を遂げています。
大型高精細LEDディスプレイをスタジオ壁面および天井に配置し、3DCG背景をリアルタイムレンダリングエンジン(Unreal Engine等)とカメラトラッキングシステムに連動させて投影する「インカメラVFX」。日活調布撮影所はこの最先端システムをいち早く実戦配備しました。これにより、以下の劇的な制作革命が実現しています。
第1に、天候や時間帯に左右されない撮影環境の確立です。夕景やマジックアワー、嵐のシーンであっても、スタジオ内で何時間も同じ光線状態を維持したまま撮影を継続できます。第2に、ロケーション移動コストとCO2排出量の大幅な削減です。海外ロケや全国各地の風景をあらかじめフォトグラメトリ等でスキャン・CGアセット化しておくことで、演者は調布のスタジオにいながら世界中どこにでも「移動」することが可能になりました。
制作関係者の証言によると、「単に背景を映すだけでなく、日活が70年間蓄積してきた照明設計のノウハウとリアルタイムCGの光が完璧に同期することで、合成特有の違和感が完全に排除される」といいます。昭和のアナログ職人技と最先端デジタル技術の融合こそが、日活調布撮影所の現在地です。